一休みして、また歩き出す
回復への旅路をお供します
双極性障害(躁うつ病)について
双極性障害とは、気分・認知・行動面において周期性の変動を来す脳の病気の事を言います。うつ病とは違う病気で、躁状態とうつ状態を繰り返します。気分の変動がある=双極性障害という訳ではなく、きちんとした診断をするには少なくとも1週間の躁状態または4日間の軽躁状態を必要とします。躁状態は気分が高ぶり、誰かれかまわず喋り続けたり、夜も眠らず活動的となったり、開放的になり抑制がきかずギャンブルなどで多額の投資をしてしまったりと、財産や社会的信用を失ってしまう行動に至る事もあります。また中には幻覚や妄想などの精神病を伴ったり、症状が重くなると刺激に反応し易く、気分は不安定で不機嫌で怒りっぽくなる事もあり、ひどい時には病院で入院をする必要も出てきます。軽躁状態とは、いつもと比べ妙に元気で活動的でその人らしくないと言われるようなテンションの高い状態です。混合状態という躁状態とうつ状態が同時に見られる状態で、躁病の方の約4割に見られるとも言われています。
双極性障害の中には、激しい躁状態とうつ状態がるものを双極1型障害、軽躁状態とうつ状態があるものを双極2型障害、軽躁状態と軽うつ状態の間を揺れ動く気分循環性障害などが含まれます。
海外の報告では双極1型障害の有病率は大体1%弱と言われております。双極2型障害と気分循環性障害については、軽躁状態の診断基準が一定せずどのくらいの方が発病するかははっきりとは分からず、大体1型と同じくらいと言われています。
病気の特徴として、上に挙げたよう気分の変動があり、特にうつ状態の時に受診される方が多いです。うつ状態で受診し治療するけれど改善せず、数年経って双極性障害と診断が確定する方も稀ではありません。(☞双極性障害のうつ参照) また青年期に発症する事が多いのですが、はっきりとした気分障害の症状が出現する数年前より、気分の異変性や異常思考、行動面の障害が出現する事があり、統合失調症や行為障害と誤って診断される事もあります。ある調査では双極性障害の方で初めて精神症状が出現する平均が10代後半で、治療開始の平均が20代前半とされ、この障害出現年齢に対する治療開始年齢の遅れが指摘されています。また不安障害や物質依存を合併したり、自分を傷つける行動に発展するリスクもあり、より精神医療のリソースを使う必要があります。
病気の経過を見ていくと、再発しやすい傾向があり、再発を繰り返すと徐々に安定した時期が少なくなり、気分の変動が激しくなる事が分かってきています。そのため一度発病すると腰を据えてじっくりと治療に向き合う事が大切になります。
治療については、躁状態とうつ状態の改善、再発予防の3つの治療を目的として治療計画を組み立てていきます。特に病状がない寛解期と呼ばれる時期にも、再発予防のためにお薬を飲み続ける事が大切です。
治療には薬物療法、心理教育、認知行動療法、対人関係・社会リズム療法、電気けいれん療法などがあります。再発を予防するためにも長期間の治療を必要とするため、特に発病の時期にしっかりと病気の特徴について勉強し、病気を受け入れ、どのように付き合って行けばよいか?を主治医の先生としっかり話し合う事が大事です。適切な治療を続けていけば、症状を抑え気分の波に翻弄される事なく普通の生活が送りやすくなります。