一休みして、また歩き出す
回復への旅路をお供します
周辺症状(イライラが強い時)への対処について
全体的な焦燥感やイライラ感、攻撃性が強まる状態は介護をする方にとっても大きな問題となります。いわゆる認知症の周辺症状と呼ばれる症状の中でも、上記症状は介護者の疲弊を強め、自信を失わせ、介護力を低下させてしまいます。慌てて介護に抵抗していることを説得したり、理解させよう、声を張り上げたり、腕力を使うことがありますが、介護者のこういった反応は認知症の方の焦燥感を取り除くよりむしろ増悪させることが多いです。まずはイライラが強まりかけるなどの警告的症候を認めたら、これまでの働きかけから離れ一息入れることが大切です。お互い離れ一息ついて、双方の心を落ち着かせリラックスさせるようなことを始める方がはるかに効果的です。可能ならイライラや不安などの背景にある懸念や問題を一緒に取り除こうとされることをおすすめします。例えば背景に痛みや便秘などの不快感が要因として影響している場合があり、それらを緩和する手立てを検討したり、誰かが物を盗んだと非難しているなら、なくなった物を一緒に探す手伝いをするなどです。これらのアプローチを続けてもなおも強い精神症状が続く時は、まずは精神科などの専門の診療科でご相談をしてみてください。鎮静剤や睡眠薬などの薬物治療は副作用の問題もあります。現在周辺症状に対してはエキスパート臨床家の意見や医師の経験に基いて処方されることが多いです。薬剤選択において、期待される部分的効果と副作用との兼ね合いを慎重に検討してお薬の投与と調整を行っていきます。また状態によっては一時的な入院も検討したりすることもあります。