一休みして、また歩き出す
回復への旅路をお供します
睡眠障害への対処
認知症の方の多くが、正常な生理的睡眠リズムや睡眠パターンが崩れてしまいます。病気による脳の変化からの影響と、それ以外に生活様式や行動パターンの変化により、夜間に覚醒し活発になってしまうと考えられます。これまでの生活の中での活動に対して無関心になったり、これまでの生活動作を行わなくなったり、役割などをこなさない、活動に参加しないなどから日中のうたた寝を引き起こし、睡眠覚醒リズムが崩れやすくなります。夜間は日中と比べ感覚刺激が少ないため、幻覚や混乱などが起こりやすくなります。以前の生活に比べて、生活構造が緩んだり社会基準自体を忘れてしまうことで、夜間の覚醒と活動を助長し、結果睡眠障害や混乱を引き起こしやすくなるのです。
この事から、睡眠障害の防止や最初の対処としては生活構造の立て直し、すなわち日中の生活リズムや構成、活動などを増進させることになります。活動負荷の少ない自宅で過ごすのではなく、デイサービスなどに出かけて日中のプログラムを受ける事をおすすめします。日中から夕方までの運動は、ほどよい疲労を感じさせ夜間の休息欲求を引き起こします。また安心出来る対人関係が、夕方以降の不安を和らげ安心して自宅で過ごせたりもします。次に、ルーチン動作、儀式的なパターンを作り、規則的な就寝と起床も良いとされています。夜間に覚醒した際は、出来るだけ穏やかに対応しながら、トイレを促したり、水分をとってサイド就寝を促すことで再入眠出来る場合もあります。これらのアプローチでも睡眠障害が持続する際は、専門医を受診し慎重に薬物の調整をうけることとなります。安易に睡眠ー鎮静薬を使用すると、逆説的興奮、転倒、起立性低血圧、翌朝以降の薬の持ち越し効果、注意や記憶への影響などが生じる場合もあり要注意です。短期間で修正することが難しく、睡眠障害以外の周辺症状(精神症状や行動障害)も合併していることが多く、ここまでくると早期に精神科でご相談されることをおすすめします。