統合失調症について

最近身近で大切な人の様子がいつもと違う・・・。表情が硬く緊張していて、ブツブツと独り言を話したり、イライラ、ソワソワ、いつも焦っている様子。話す会話も突拍子もない考えに影響を受けてしまっていたり、まるで人が変わってしまったよう。とにかくなんだか余裕がなくて心配・・・。もしかすると統合失調症の症状の影響かもしれません。

目次

統合失調症とは

統合失調症とは、脳内の神経機能のトラブルにより生じる病であり、未だ原因は明らかになっておりません。人種や国や文化などによらず100人に1人に発症する、決して稀ではない病気です。発症年齢のピークは男性で10~25歳、女性では25歳~35歳と中年以降で二峰性のピークがあります。自立課題に直面する思春期~青年期に多い疾患です。学童期や60歳以降の発病は稀なケースと考えられます。

統合失調症の原因について

原因については、未だ分かっておりません。生まれながらの脳内神経の脆弱性がベースにあり、成長とともにストレスがかかる事が重なっていき徐々に発病に近づいていくものと考えられております(神経発達障害仮説)。特定の遺伝子だけによるものでも、単にストレスが重なっただけで発病するものではなく、様々な要因が折り重なって発病すると考えられております。脳内では情報伝達を行う神経伝達物質のバランスが崩れている(ドーパミン仮説)と想定されています。

統合失調症の症状と特徴

症状としては、①幻覚、②妄想、③解体した思考・会話、④まとまりない言動/緊張病性の行動、⑤陰性症状が主にあり、それ以外では認知機能障害やうつ症状などにも注意が必要となります。病気の特徴として、前駆期(発病前の時期)や残遺期(症状が改善せず長期で持続している時期)に社会的孤立、引きこもり、奇異な行動、関係念慮や奇異な信念、社会的関心や興味、エネルギーの低下などが認められる事があり、青年期前後で発病し、経過は非常に多様で、再発しやすく、幻覚妄想などの急性症状の再発を繰り返していくうちに次第に社会機能が低下し、社会参加が難しくなっていく場合があります。
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統合失調症の経過について

経過としては、典型的な場合は4つの段階を辿っていくと考えられています。
①前駆期(前兆期):非特異的な症状が中心。不眠、神経過敏、気分の易変性、強迫症状、不安、抑うつ、イライラ・ソワソワ・焦り、身体の疼痛など。
②急性期:幻覚(幻聴が多い)、妄想(被害妄想が多い)、不眠、不安・焦燥、全くゆとりがない、疑い深さなど。
③消耗期:過度の眠気、倦怠感、無気力、自信のなさ、ひきこもり、過度の甘えなど。
④回復期:ゆとり感の回復、周囲への関心増大 など。
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統合失調症の診断

統合失調症様の精神病症状が一般身体疾患や使用薬物などから誘発されることもあり、必要があれば身体的な精査が必要になる事があります。急性期に治療が開始される場合は、本人の病識や現実検討能力が低下している事が多く、受診や治療への拒否や抵抗からスムーズな医療受診が難しくなり、身体科と精神科で連携が大事になってきます。またそれらが除外されたら統合失調症以外の精神病症状を呈する他の精神疾患との鑑別が必要となります。鑑別は簡単ではなく、病気の経過を通して追跡観察された病像から判断する事が最もよいと考えられます。病気によっても治療方法が異なリ治療効果や予後も変わって来るため、鑑別診断は非常に重要となります。

統合失調症の治療

治療の主体は薬物療法と休養、そして疾病教育やリハビリテーションなどがあります。特に急性期には薬物療法と休息が基本となり、その中でも抗精神病薬とよばれるお薬内服しながら、一休みすることがとても大事になります。特にお薬は幻覚や妄想などの急性期症状の改善や再発の予防に有効です。主に脳内のドーパミン神経のバランスを整えることで症状を改善すると考えられています。最近では錠剤や口腔内崩壊錠、液剤、注射剤、持効性注射剤(2週間に一度の注射、4週間に一度の注射で効果が持続するもの。詳しくは主治医に相談して下さい。)など、様々な剤型が出てきています。病気の治療には時間がかかり、薬の症状改善効果や再発予防効果を高め、副作用を出来るだけ少なくするための話し合いが必要で、そのためには病気の特徴や付き合い方などの勉強(疾病教育など)も大事です。本人の治療への主体的な参加、周囲の理解と支援、地域のリハビリ資源の活用など、主治医の先生と相談しながら病期に応じた治療の組み合わせや調節を続け、社会的に孤立しないようじっくりと周囲との繋がりや関係を太くしていくことが大切です。

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