一休みして、また歩き出す
回復への旅路をお供します
社交不安障害(恐怖症)について
”自分はあがり症かもしれない?”と思ったことはありませんか?
社交不安という言葉はあまり聞いた事がないかもしれません。以前から「自分は過度のあがり症だ」「人見知りが激しく、人前では緊張してしまう」「本当はもっと力があるのに、人前に立つと力を発揮できずに情けない」と長年悩み続けている方の中には、社交不安障害の方が含まれているかもしれません。
目次
”不安や恐れ”は、実際の悪い兆しや危険への、またはそれらが起こるのではないか?と予期することへの正常な心理的かつ生理的反応です。過度の不合理な度合いの恐れを感じて特定の状況や行動を避けてしまい、日常生活に影響が出てきてしまう場合は病として考えられます。
恐怖を感じる対象は色々あります。例えば、昆虫、ヘビ、イヌ、嵐、高所、水、注射、運転、トンネル、飛行機、エレベーター、会食、人前で字を書く、視線が合う、注目される状況、人前でのスピーチ、公衆トイレを使うことなど。どうして恐怖症になるかは、いまだ明らかではありません。動物や自然環境に対する恐怖感は、幼少期に始まることが多いとされており、また特に恐れている対象や状況に出くわしたこともなく、始まったりもします。
社交不安障害の症状について
社交不安の方は、他人の注目を浴びるかもしれない社会的状況に対して、自分が話したり行動することで恥ずかしい思いをするのではないか?と過度に不安や恐怖を感じてしまい、毎日の仕事や生活に支障が生じてしまうことが多いです。それらの状況を出来るだけ回避しようと心血を注いだり、回避出来ずに苦手な状況になると、顔がひきつる、手や声が震える、頭の中が真っ白になるなどが見られ、不安に伴う生理的な反応として、動悸、震え、発汗、紅潮、胃部の不快、吐き気、下痢などが見られやすくなります。
社交不安障害の現在
社交不安は以前はまれな病気と考えられていましたが、生涯有病率が約13%(男性11%、女性15%)との疫学調査での報告もあり、うつ病と同様に今日では一般人口の中で最も多い精神疾患と知られるようになってきました。しかし現状の調査によると、社交不安を持つ全体の約2%しか治療を受けていないと推定され、まだまだ世間では認知されていない疾患のようです。生活に支障を来していなければ心配はないのですが、上で出てきたように自分の不安が過剰であると分かりつつも、回避行動とそのような不安のため社会的もしくは職業的な機能が損なわれてしまっている方も多いと考えられます。また、恐怖を感じる対象が2つ以上あると、より一層能力が制限され、苦しい生活を余儀なくされてしまいます。
社交不安障害の治療について
治療としては薬物療法と精神療法、認知行動療法があります。
代表的なお薬としてSSRIという抗うつ薬があります。これらは飲み始めて効果が出現するまでに時間がかかるため、一時的に抗不安薬を併用したりします。また不安に対する生理的な反応症状をやわらげるβ遮断薬といった薬を使用したりします。心理療法的なアプローチとして、疾病についての説明(心理教育)、動機付けや不安への対処などの助言を行ったり、人によっては森田療法的アプローチなどを行います。また効果的な治療として、認知行動療法があり、その中でも系統的脱感作といって、段階的に苦手な状況を設定し暴露される過程を通して自身の不安と恐怖の反応をやわらげていくといった方法をとる場合もあります。
”苦手な状況を回避し続けるのは自分の心が弱いからだ”と思って悩み苦労されてきた方は、一度お近くの精神科でご相談してみて下さい。
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